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生立八幡宮の大楠

 

生立八幡宮の大楠

 

犀川総鎮守・生立八幡宮は水田の沃野の中にぽっかりと浮かぶ「緑の島」のような外観をしています。その島の中の一番の「ご長寿」「のっぽさん」がこのクスノキで、社叢のなかでひときわ目立つ存在です。写真のように社殿の脇に聳え立つ姿は「生命の木」のような趣さえあります。ご長寿・のっぽさんの割には大きな腐食部分もなく、いたって健康体の元気な木です。そんな元気な木に「命のオーラ」を感じ取った先人が多かったことがこの木がさまざまな伝説を生む背景になったといえるのではないでしょうか。

この大楠は、生立八幡宮の社叢中最大・最古の樹木で、神社第一の「ご神木」として知られています。一説に樹齢約800年といい、町内でもトップクラスの樹齢を誇ります。それだけにこの木には次のような伝説や逸話が残されていて、町を代表する古樹・巨木にふさわしいものとなっています。

下から見上げる大楠の雄姿

その一つはこの木の由来に関するもので、神社の祭神でもある神功皇后(じんぐうこうごう)が三韓出兵から凱旋の途中この地に立ち寄り、軍船に貼り付いて皇后軍を守った「蜷貝(にながい)」を自らこの楠に放し、木の守り神としたというものです。
以来この木は神社第一の神木とされる一方、蜷貝は先の逸話とともに、皇后自らお持ちになられた霊験あらたかな貝として尊ばれ、とりわけ歯の痛むときは、患部にあてたり噛んだりするとたちどころに痛みが直るという「まじないの物実(ものざね)=神様の力がやどる事物」として大切にされるようになりました。
 

根元付近の姿

今ひとつは幕末の嘉永七(1854)年、小倉藩が大砲の台座としてこの木を伐ることを要求してきた際、当時の宮司や氏子らがこの木の霊験を必死に説き、ついに伐採を免れることができたというもので、このときのいきさつの一部が当時の大庄屋(おおじょうや:現在の町長に当たる)の公務日記に残されています。
いずれの話もこの木のもつ高い神秘性や人々の深い愛着を示すもので、私達の祖先が大切に培ってきた「自然への畏敬・感謝の念」を示すものとして、この木の自然遺産としての高い価値を裏づけています。

大楠の由来を記す古文書とその訳文
(九州文化研究所蔵「長井文書」から)

 おなげきもうしそうろうこうじょうのおぼえ
御嘆申上候口上覚

 おいたつしゃけいだいおおくすのぎは とうしゃだいいち
生立社境内大楠之儀者当社第一
 のごしんぼくともうしつたえ、ちくぜんうみのみや(宇美八幡宮)
之御神木与申伝 筑州産之宮
 よりとうしゃおんかみおうつりのせつ、にながい
依当社御神御移節蜷貝
 おんてづからごじさん みぎ、くすへおうつし
御手つから御持参 右楠江御移し
 あそばされそうろうよし いまに、にながいはんじょう
被為遊候由尓今蜷貝繁昌
 つかまつりもうしそうろう みぎ、かいのとくともうしそうろうは しょにん
仕申候 右貝之徳与申候者諸人
 はなどいたみのせつ みぎ、になかりうけ びょう
歯等痛之節右蜷借り受け病
 しょへあてそうらえば さっそくぜんかいつかまつりそうろうだん、
所江当候得者早速全快仕候
 こらいもうしつたえそうろうりやく、げんぜんにござそうろう

段古来依申伝候利益現然ニ御座候 (以下略)

大楠の由来を記す古文書
 

基本情報

基本情報
名称 生立八幡宮の大楠(おいたつはちまんぐうのおおくす)
指定種 記念物(天然記念物)
数量 1本
所有者 宗教法人生立八幡宮
成立年代 推定樹齢 約800年
法量 樹高30.7m、幹周り6.09m、枝張(南北方向)約28m
特徴 町内最大のクスノキで、様々な逸話が残されています。
詳細
所在地 福岡県京都郡みやこ町生立20番地
営業日  
定休日  
公式サイト  

 

交通アクセス

 

 

交通アクセス
東九州自動車道「みやこ豊津IC」より、車で約15分
電車

平成筑豊鉄道「犀川駅」下車、徒歩約15分

 

お問い合わせ

部署名:みやこ町役場 歴史民俗博物館

電話番号:0930-33-4666