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抱え地蔵

 

抱え地蔵

 

戦国時代のこと、豊津町大字光冨に「ほっけん寺」(今でも「ほっけん」という地名が残っている)という寺があり、この辺一帯も戦場となり、豊後の大友宗麟の手の者によって、村中一軒残らず焼かれてしまったという。

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焼け落ちたお寺の跡には、たくさんの石造の仏像が転がっていて、雨風に晒されていた。ところがその中に人一人がやっと抱え上げられるほどの小さな地蔵さんがあった。この地蔵さんを抱え上げることが出来たら、願い事が叶えられるというので、だれいうとなく「お抱え地蔵」と呼ばれるようになった。

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戦前は、たいそう有名で、病気・受験・結婚・安産などの祈願に、参詣客も多かったという。村の人たちは、お抱え地蔵のお蔭で、ここではめったに火事が起こらないという。(『ものがたり京築』高野ますみ)
光冨から豊津町ざこを通って行くと、旧豊津藩士たちが住んでいた、豊津にもっとも近い犀川久富にも抱え地蔵がある。このお地蔵さんは、女性にも抱え上げられる程度の丸石で、前もって頼みごと、伺いごとについて「持ち上がったらこう、持ち上がらなかったらこう」と決めて抱える。昔、「馬ヶ嶽城主」の妃、照日御前も、懐妊のみぎり、生まれる子の性別を尋ねて、このお地蔵さんを抱えられたという。やはりお抱え地蔵である。(『京都郡の伝説』中村天邨)
 

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出展:豊津町史